「一生住む家」じゃなくていい。家賃が上がる今、身軽に生きるための「家を買う」

目次

毎月の家賃の更新通知を見て、「えっ、また上がるの?」とため息をついた経験、ありませんか?
これだけ家賃が上がり続けると、「毎月高い家賃を払い捨てるくらいなら、いっそ住宅ローンを組んで買ってしまった方がいいのでは?」という気持ちになりますよね。その感覚は、とても自然なことです。

 

ただ、ここで少し立ち止まって考えてみたいことがあります。
近年、20〜30代の5人に1人が『ペアローン』を利用して家を買っています。しかし、いざ転職や離婚でライフスタイルが変わった際、ローン残高が多すぎて売るに売れず、そのまま家とローンに縛られ続ける『若年層のローン破綻』の相談件数が、実際の不動産現場でも急増しているのです。

 

家賃上昇をきっかけに購入を考えるなら、知っておきたい「これからの時代の家選びの基準」について、一緒に整理してみましょう。

 

※参考:三井住友トラスト・資産のミライ研究所「若い世代が牽引するペアローン利用」調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000109.000055547.html

※参考:ダイヤモンド不動産研究所「ペアローンの典型的破綻事例」
https://diamond-fudosan.jp/articles/-/1112193

 

「一生の買い物」という言葉が、リスクになる時代

 

少し上の親世代にとって、家選びの正解は「家族が増えたら郊外にマイホームを買い、一生そこに住み続けること」でした。

 

でも、今の私たちの働き方や暮らし方はどうでしょうか。
転職で勤務地が変わったり、リモートワークの頻度が増減したり。あるいは結婚や出産、もしかしたら離婚など、5年先のライフスタイルさえどう変化しているか読めないですよね。

 

そんな「変化が当たり前の時代」に、ローンという大きな借金を背負って「一生同じ場所に住むこと」を前提にしてしまうのは、実はとてもリスクをはらんでいます。売るに売れない、貸すに貸せない家を抱えてしまうと、今後のキャリアや人生の選択肢を狭めてしまうことになりかねません。

 

家を買うなら「いつでも手放せるか」を基準にする

 

では、今の時代に家を買うのはNGなのでしょうか?決してそんなことはありません。
考え方を少し変えてみましょう。今の時代に合った一番の防御策は、「いざとなれば、いつでも手放せる(売却・賃貸に出せる)家」を選ぶことです。

 

一生住む覚悟を決めて買うのではなく、「ライフステージが変わったら、売って身軽になればいい」という前提で物件を見るのです。最近はNISAなどで資産運用をする人も増えましたが、家も同じです。「手放しやすい資産」として持てるのであれば、家賃を掛け捨てにするよりもずっと合理的な選択になります。

 

後悔しないための、3つのチェックポイント

では、「いざという時に手放しやすい家」を見極めるには、どこに気をつければいいのでしょうか。必ずチェックしておきたい3つのポイントがあります。

 

① 立地は「自分のタイパ」=「次の人の需要」で考える

家を手放す時、一番の決め手になるのが「立地」です。たとえば「駅から近い」「都心へのアクセスがいい」といった条件は、日々の通勤や家事育児の時間を生み出してくれます(いわゆるタイパが良い状態です)。自分が「便利で暮らしやすい」と感じる立地は、将来家を売る時や貸す時にも、他の誰かが「住みたい」と思ってくれる強みになります。

 

② 家賃とローンを「同じ金額」で比べない

 

「今の家賃が12万円だから、月12万円のローンなら払える」と考えてしまいがちですが、ここは要注意です。持ち家になると、ローンの他にも毎月確実にお金がかかります。

  • 住宅ローンの返済
  • 管理費・修繕積立金(マンションの場合、将来値上がりする可能性も)
  • 固定資産税

これらを合計すると、ローンが12万円でも、実際の支払いは毎月16万円近くになることも珍しくありません。「見えない維持費」まで含めても、今の家計で無理なく払い続けられるか。ここをシビアに見ておくことが、日々の生活の余裕につながります。

 

③ 「ペアローンの罠」に気をつける

物件価格が高騰している今、希望の条件を叶えるために、夫婦の収入を合算する「ペアローン」を選ぶ人が増えています。たしかに理想の家には手が届きやすくなりますが、もしどちらかが転職や育児で収入が減ってしまったらどうなるでしょうか。

 

一番怖いのは、家を売ろうとした時に「売れる金額よりも、住宅ローンの残りの方が多い(残債割れ)」という状態になってしまうこと。こうなると、手元から何百万円も現金を出さないと引っ越しができなくなってしまいます。
「もしもの時でも、手出しゼロで売って清算できるか」という視点は、絶対に忘れないようにしたいポイントです。

 


まとめ:家賃が上がっている今だからこそ、冷静に

家賃が上がっていると、つい焦って「早く買わなきゃ!」と思ってしまうかもしれません。
でも、家は「一生縛られる重いもの」ではなく、「その時々の自分たちに合わせて乗り換えていくもの」と考えてみてください。そうやって「いつでも手放せる身軽な家」を冷静に選ぶことができれば、変化の多いこれからの時代でも、もっと自由に、あなたらしい選択をし続けていけるはずです。

 

まずは、「次に引っ越すならどの街がいいかな?」というお部屋探しの延長で、スマホで物件の相場を眺めてみるだけでも十分です。その際、「毎月の見えない維持費はいくらになりそうか」「将来、自分以外の人も住みたいと思う立地か」という、今までと少し違う視点でチェックすることから始めてみましょう。その一歩が、後悔しない自由な暮らしへのスタートラインになるはずです。

 


 

適用に際しての具体的な注意点 

・上記は令和8年3月末時点の適用法令

・通達等に基づき記載しております。

・上記事例等は一例であり実際に適用する場合にはご自身が適用要件を満たしているか専門家等にご確認の上適切にご対応頂きますようお願い致します。

・本記事の記載内容にあてはめて適用することを保証するものではありませんのでご留意願います。

 

※本掲載内容は、情報提供を目的とし掲載時点の法令等に基づき掲載されており、その正確性や確実性を保証するものではありません。本掲載内容に基づくお客様の決定・行為およびその結果について、当社グループは一切の責任を負いません。最終的な判断はお客様ご自身のご判断でなさるようにお願いします。なお、本掲載内容は予告なしに変更されることがあります。

編集・執筆/property technologies 永江 直人

大谷 修太

齋藤久誠公認会計士・税理士事務所

2012年にみずほ銀行へ入社後、2014年みずほ信託銀行へ出向。
2024年まで相続・事業承継・不動産を専門とするコンサルタントとして毎年100家族以上のご相談に対応。現在は独立し「相続や事業承継で経済的に不幸になるご家族を一人でも減らしたい」という理念のもと、幅広い層の皆さまに最適なソリューションを提供。

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