「基準地価」が発表されたけど…結局「公示地価」や「路線価」と何が違うの? わかりにくい"5つの価格"

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2025年(令和7年)9月16日、国土交通省より令和7年の基準地価(価格)が発表されました。7月1日時点の基準地価(価格)は、全国の住宅地・商業地を含む全用途平均で前年比1.5%上昇し、4年連続の上昇となりました。

 

詳細は、「令和7年 都道府県地価調査の概要」をご参照ください。

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000044.html

 

さて、本記事では、公的機関から公表される公示地価(価格)・基準地価(価格)・路線価など土地の価格を示す指標の概要や実勢価格との関係性などについてみていきましょう。

 

一物五価(いちぶつごか)

不動産には「①実勢価格」・「②公示地価(価格)」・「③基準地価(価格)」・「④路線価(相続税評価額)」・「⑤固定資産税評価額」の5つの価格があることを表現したのが「一物五価」という言葉です。これらの価格は、根拠となる法令や通達、公表者、公表時期、利用目的、価格水準等が異なっており、価格査定に役立つ地価指標とされています。

 

図1のとおり、「公示地価(価格)」は国土交通省、「基準地価(価格)」は都道府県、「路線価(相続税評価額)」は国税庁、「固定資産税評価額」は自治体というように、それぞれ不動産に価値をつける主体が異なっていることから、私たちはさまざまな土地についての価格(地価)の発表を目にしています。

 

 

【図1】 5つの地価一覧

 

一つの土地に5つの異なる価格が存在するのはなぜ?違いは?

①「実勢価格」

不動産市場において実際に取引が成立する価格のことを指し、売り手と買い手の間で需要と供給が釣り合う価格となります。実際に売り出されている販売価格ではありません。
また需要のあるエリアでは、公的機関から公表される地価(価格)よりも高い価格で取引されたり、人口減少が続く地方などのエリアでは、低い価格で取引されることもあります。

 

つまり、不動産の価格は需要と供給の関係で決まるため「定価」というものがなく、

 

「買いたい人が少ない」 × 「物件が多い」 = 価格は下がる
「買いたい人が多い」 × 「物件が少ない」 = 価格は上がる

 

これが価格決定の一番大きな要因となります。

 

②「公示地価(価格)」

国土交通省土地鑑定委員会が公表している、毎年1月1日時点を基準とした全国の標準地の価格です。毎年3月に発表されます。法令に基づき国家機関等により定期的に評価されている公的地価のうち、個別の地点、適正な価格が一般に公表されているものを指します。不動産取引の指標となり、民間取引の適正化や公共事業用地の取得価格算定に活用されています。

 

なお、「地価公示」という用語は、この公示地価を公表する制度そのものを指します。つまり、公示地価は「地価公示によって示される土地価格」という位置づけになります。

 

③「基準地価(価格)」

各都道府県が公表している、毎年7月1日時点を基準とした全国の基準地の価格です。毎年9月に発表されます。基準地価は、地価公示から半年後の地価を評価するものなので、地価の変動を速報し、地価公示を補完する役割を担っています。不動産市場の動向を把握し、公示価格と同様に取引価格の目安や地域特性の把握に役立ちます。

 

④「相続税評価額(路線価)」

国税庁が公表している路線ごとの土地の価格です。毎年1月1日を判定の基準日として評価されるもので、7月に発表されます。相続税・贈与税の税額計算をする際の価格で、公示価格の約8割を基準に算定されることが多いですが、詳細は地域や用途で異なります。「路線価」が示されていない場合は「倍率方式」で価格を算定します。

 

⑤「固定資産税評価額」

各市町村が公表している固定資産税を支払う基準となる価格です。固定資産税算定の基となるもので、市街地の土地については公示価格の約7割を目安に算定され、3年ごとに見直しが行われます。固定資産税の土地の評価額については、原則として基準年度(3年)ごとに評価替えを行い、第二年度及び第三年度(据置年度)の価格は当該土地の基準年度の価格を据え置きとなります。

 

現在、所有しているご自宅などの固定資産税評価額を知りたいときは、毎年送付されてくる固定資産税の納税通知書に付いている「課税明細書」を見てみましょう。固定資産税評価額が記載されています。なお、「課税明細書」のフォーマットは統一されておらず、自治体ごとにばらばらです。
図2の画像は課税明細書の一例(マンションの場合)となります。

 

 

 

【図2】 課税明細書の一例

各価格の関係

一物五価(いちぶつごか)=「①実勢価格」「②公示地価(価格)」「③基準地価(価格)」「④路線価(相続税評価額)」「⑤固定資産税評価額」の関係性についてみてみましょう。

 

まず、「公示地価(価格)」と「基準地価(価格)」は評価手法が類似しているため同水準となることが多いです。
つぎに、「路線価(相続税評価額)」は「公示地価(価格)」の概ね80%となります。
さらに、「固定資産税評価額」は「公示地価(価格)」の概ね70%となります。
さいごに、「実勢価格」は「公示地価(価格)」の概ね110%となります。

 

5つの価格(一物五価)の違いを図にすると以下の通りとなります。

 

注意点としては、「実勢価格」は、実際に取引された価格となるため、需要や周辺環境、これからの期待値など、さまざまな要因によって価格が大きく変わることが特徴です。同じ標準地でも土地によって「実勢価格」は異なり、「公示地価(価格)との差が大きいこともある」ことを念頭に置くべきです。

 

「公示地価(価格)」や「基準地価(価格)」、「路線価(相続税評価額)」とかけ離れた金額での不動産を売買すると贈与税が発生する

不動産売買における市場原理を考慮すると、売主と買主の合意があれば、どのような成約価格であっても取引は成立します。
しかし、この原理を悪用して意図的に納税義務を回避する行為は、脱税行為に該当します。

 

例えば、遺産相続に伴う相続税を過度に減少させる以下のような行為が挙げられます。

 

親が所有する1億円相当の土地を100万円で子どもに売却する

これらは、公的に評価された土地の価値から大きく逸脱した価格で売買契約を締結することにより、本来発生するべき相続税の負担を軽減しようとする違法行為です。
このような行為は“みなし贈与”と呼ばれ、財産の価値に応じた贈与税が課されます。

上記は親子間での“みなし贈与”の例ですが、過去の判例においては第三者間での取引においても“みなし贈与”と認定されたケースがあります。

 

相続税に関連する法律(相続税法第7条)では、財産の譲渡が贈与と見なされる場合について、以下のように規定されています。

第七条 著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合においては、当該財産の譲渡があつた時において、当該財産の譲渡を受けた者が、当該対価と当該譲渡があつた時における当該財産の時価(当該財産の評価について第三章に特別の定めがある場合には、その規定により評価した価額)との差額に相当する金額を当該財産を譲渡した者から贈与(当該財産の譲渡が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

 

まとめ

今回は、国土交通省より発表された基準地価(価格)を含む「一物五価」についてご紹介しました。
不動産会社に従事している人や士業の人などでない限り、相続や贈与、土地の売買などにより土地評価額を確認するとなった時、ほとんどの人が混乱してしまうと思います。まずは各価格の違いを理解し、使用目的を明確にして、適切な価格を使用するようにしてください。

 

贈与税や相続税などを計算したい場合には、税額の基準となる「路線価(相続税評価額)」や「固定資産税評価額」を確認するとよいでしょう。固定資産税を知りたい場合には、「固定資産税評価額」です。
また、需要と供給の関係に左右されず公正に判断されている土地価格を知りたい場合には、「公示地価(価格)」「基準地価(価格)」を確認しましょう。
さいごに、「実勢価格」を知りたい場合には、「公示地価(価格)」や「基準地価(価格)」からも推測できますが、土地の価格は形状や接道状況などの影響も受けるため、不動産会社による査定を依頼するとよいでしょう。

 

当社グループでは、不動産売却をご検討中の方のご相談を承っております。
所有している土地や家屋を売りたいと思ったら、ぜひお問い合わせください。

 

不動産売却について相談してみる

 

適用に際しての具体的な注意点 
・上記は令和6年10月末時点の適用法令・通達等に基づき記載しております。
・上記事例等は一例であり実際に適用する場合にはご自身が適用要件を満たしているか専門家等にご確認の上適切にご対応頂きますようお願い致します。
・本記事の記載内容にあてはめて適用することを保証するものではありませんのでご留意願います。

 

※本掲載内容は、情報提供を目的とし掲載時点の法令等に基づき掲載されており、その正確性や確実性を保証するものではありません。本掲載内容に基づくお客様の決定・行為およびその結果について、当社グループは一切の責任を負いません。最終的な判断はお客様ご自身のご判断でなさるようにお願いします。なお、本掲載内容は予告なしに変更されることがあります。

編集・執筆/property technologies 永江 直人

大谷 修太

齋藤久誠公認会計士・税理士事務所

<p>1級ファイナンシャル・プランニング技能士<br />
宅地建物取引士</p>
<p>2012年にみずほ銀行へ入社後、2014年みずほ信託銀行へ出向。<br />
2024年まで相続・事業承継・不動産を専門とするコンサルタントとして毎年100家族以上のご相談に対応。現在は独立し「相続や事業承継で経済的に不幸になるご家族を一人でも減らしたい」という理念のもと、幅広い層の皆さまに最適なソリューションを提供。</p>

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